コンサルティング事例 BAGWORKS

豊岡発、世界一のかばん屋へ

外から見てくれる人に賭ける!

空が広い、川が広い。兵庫県北部、豊岡平野の真ん中を悠々と流れる円山川。その川沿いに、大きなマークを掲げた三角屋根の建物がある。知る人ぞ知る人気カバンメーカー、BAGWORKSのファクトリー兼ショップだ。コバルトブルーの壁に映える白い扉をくぐった先には、プロ用のミシンが据えられた作業台、さまざまな種類の金型、生地サンプル。それらがきちんと置かれた工場に、きちんと姿勢を正した高島さんが立っていた。この工場を30年来支えてきた、生粋のカバン職人である。

「豊岡は古くから“柳行李(やなぎごうり)”と呼ばれる荷物入れづくりがさかんで、戦後の高度成長期にはカバンの一大産地となりました」。スラスラ説明が出てくるのもそのはず、高島さんは、その後の不況を生きのびた優良企業として、地元のカバン産業復興にも関わっていたのだ。「とはいえ、うち自身も、主力の業務用カバン受注をどんどん海外に奪われていて。なんとか自社ブランドを立ち上げようと苦悩した末、中川さんに相談をもちかけたんです」。この人に任せてみよう、と最初の顔合わせで心が決まった。「デザインするだけでもない、机上の空論だけでもない。自身でブランドを興した方だからこそ、外からの目で、うちの弱みや強みを見抜いてもらえるだろうと」。

業務用を逆手にとった新ブランド

「カバンづくりはプロでも、ブランドづくりは素人。潔く経験者にお任せしたい」。そんな高島さんの素直な姿勢に応え、中川もこれぞという提案を出した。コンセプトは、“世界一ちゃんとしたかばん屋さんがつくる、しごとのかばん”。業務用をモデルにしたファッションバッグを売り出し、話題をつくることで企業からの新規受注も獲得しようという狙いだ。「目からウロコでしたね、ちゃんとしているとか、業務用中心だということが、まさか強みになるなんて」。

しかし、そのままトントン拍子に商品デビュー、とはいかなかった。「どの職業を選んで、どうデザインに落とし込めばいいのか、“さじ加減”がつかめなくて」。ベテラン職人だからこそ、つい四角四面に思い詰めてしまう。けれど、今後も自社ブランドを存続させるためには、外部に頼らずなんとか自力で形にしたい。高島さんの熱心な研究と中川のアドバイス、東京でデザイナーをしていた娘の協力で、ようやく「ポストマン(郵便配達)」「ミルクマン(牛乳配達)」「ワイヤーマン(電気工事技師)」の3アイテムが誕生。展示会で多くの商談を成立させた。

バッグに詰めた新しい希望

“うちがつくる商品なんて不釣り合い”。そう思っていた華やかな都会の店で、BAGWORKSの商品が並ぶと同時に売れていく。先の3アイテムに続けて発表したのは、コンビニや百貨店の買い物袋をモデルにした「コンビニマン」「デパートマン」。開発当初は「これは“しごとのかばん”だろうか?」という迷いもあった。けれど、「考え方さえしっかりしていれば、それくらい幅広い方がブランドとして魅力的」と中川から背中を押された。「コンサルティングを卒業した今も、いろんな相談にのってもらっていますね」と、頭をかく。

ひとつひとつ悩みながらも商品開発の要領をつかみ、つくりあげたアイテムは12以上。4年前は影も形もなかった自社ブランド商品が、今や総売上げの5割に迫りつつある。「うちみたいに小さな会社でも、自分たちの品質や姿勢をちゃんと大切にすれば、大きな市場で闘える」。そんな喜びを胸に、現在もあえて少数の熟練社員だけで生産を続けているという。「ただ、新しい変化は必要だし、せっかく育てたブランドをもっと飛躍させたい」と、これまで意識していなかった後継者のことまで考えはじめた高島さん。四角い思考から大きく開けた頭の中には、BAGWORKSの新たな未来が詰まっている。

バッグワークス株式会社

高島茂広さん

1954年生まれ。兵庫県豊岡市の鞄メーカー「バッグワークス」代表取締役。兵庫県鞄工業組合の理事および理事長を18年間、歴任。2011年より約1年半、中川淳のコンサルティングを受ける。

バッグワークス株式会社
〒668-0051 兵庫県豊岡市九日市上町767-4
電話番号 0796-29-3344

www.bagworks.co.jp

中川政七商店採用情報へ
ページ上部へ