2019年入社

荻野 祐 経営企画室 室長

合理性を追求するだけでは、
人生はつまらない

僕はこれまで、合理性を追求する世界で仕事をしてきました。「どうなるかわからないけどやってみよう」という遊びの要素は極力排除して、「確実にこうなる」という合理的な手段を選んで成果を出す。ただ、自分はこういった世界に没頭して、経験を積まなければと思っていたんです。

「企業は人なり」といっても、事業モデルやキャッシュがしっかりとなければ、単なる絵空事になる。いいビションを掲げていても、経済的なバランスが取れていない会社も多い。企業が永続する上で、盤石な事業運営は絶対だと感じていたからこそ、前職の外資系コンサルティング会社での経験が僕には必要でした。

一方で、ビジネスにおける合理性を徹底的に追求する、いわゆる経営のサイエンスの力をつけるほどに、それだけを突き詰める人生というのもつまらないなという気持ちが、大きくなっていきました。

僕は、一見無駄に見える“人生の余白”みたいなものが好きなんです。例えば、機能だけで考えるならば、服も生活の道具も、ファストファッションや100円ショップで済ませてもいいですよね。でも、自分なりに悩んで選んで、そのもの自体に愛着を感じながら過ごす、誰かにその良さを語る。そういう時間が人生を豊かにしていくんじゃないかな、と。「動物の中でも、アートを楽しむのは人間だけだ」というように、余白こそが人間らしさだと思うんです。

「日本の工芸を元気にする!」中川政七商店のビジョンは壮大で、まさに、どうなるかわからない世界。でも、「このビジョンにコミットできるのか?」という自問に、できるできないではなく「やってみたい」と即答できたんです。自分の気持ちが動いていることがわかったからこそ、これまでの価値観とは真逆に見える道に進むことに、何の心配もありませんでした。

「ビジョン」と「利益」
両方にこだわりを持つ

会⾧の中川と初めて出会ったのは実は、約10年前。僕が社会人3年目の頃です。新卒で入社した組織人事コンサルティング会社で、コンサルタントとして中川政七商店を担当することになったことが縁でした。

あるプロジェクトを終えた時、中川がこう言ってくれたんです。「会社に対してじゃなく、荻野さんにお金を払っているんですよ」。この言葉は、プロフェッショナルキャリアとして歩んでいく上で、大きな自信となり、拠り所になりました。

以降、中川政七商店とは折に触れて関わりがあったのですが、ある時、社長の千石と話す機会がありました。そこで「数字にこだわる」「数字にはとらわれずに本質を追求する」、、、一見矛盾しているようにみえる二つのことを、バランスしようとする経営者の覚悟を強く感じました。 数字や論理に対する重要性は認識しながらも、そのわかりやすさにとらわれてしまう無意味さをずっと感じていた中で、これは心に残りました。

この考えは、中川政七商店に文化として根付いていると感じています。「予算は3秒で決めろ」という方針も、このバランスのよさを表すもの。予算決定に時間を費やすことに意味はなく、あくまでも追いかける目標でしかない。手が届くかもしれない中で、一番高いレベルに設定すればいいということなんです。

目標達成することにはこだわるけれども、とらわれない。目標を達成することを目的化しないことを大事にしているんです。言うは易しですが、これを実行し続けることは並大抵のことではありません。

また、事業の方向性について議論する際は、常に「ビジョンにとっての意味」「経済的な意味」の両面から議論をして、方向を決めていく。片面だけで意思決定はしないという点も、中川政七商店の特徴だと思います。

アート追求型の経営であれば、僕のこれまでの経験は役に立たない。一方でサイエンス偏重型の経営であれば、これまでやってきたことと変わらない。中川政七商店は、経営におけるアートとサイエンスのバランスがよいからこそ、僕が飛び込む意味がある場所だと思いました。

論理で考え抜いた末の
意思決定は、
自分の気持ちに従う

これまでは、クライアントの課題を解決することが仕事で、極論を言えばその先に何があるわけではなかった。でも今は、課題を解決することは別に目的ではありません。まず「日本の工芸を元気にする!」という大きなビジョンがあって、そこに向かうための課題だけを解決していく。

課題解決という仕事ひとつをとっても、コンサル時代と今は、全く違うことをしています。頭はもちろん使いますが、五感を働かせながら形にしていくような、形になったものを磨き上げていくような、そんな感覚なんです。

それに中川政七商店は、スピードやタイミングを加味した短期的な利益ももちろん大切にはするけれど、長い時間軸の中でどういう姿を描いていくのか、周囲とどんな関係を築いていくのかを考える会社。極論、儲けるかもしれないけど、自分たちの価値観に合わなければやらない。一方で、儲けなくてもコミットすることはあります。これこそ、面白さと難しさの両方を手放さずにバランスしていく、中川政七商店の経営の醍醐味だと思います。

論理だけで考えれば、コンサルにいた方がいいと思う人もいるでしょう。リーディングカンパニーのトップを相手に仕事ができるし、報酬は十分すぎるほど得ることができる。それは否定しません。でも、こんなに不確実な世界で、自分の頭で予測できる範囲の「こうだろう」「こうなるだろう」なんてことは、全く当てになりません。

だからこそ、論理で考え抜いた最後の意思決定は、自分の気持ちが向かう方向に素直に従うべきだと思う。「どちらの方がワクワクするのか」「どちらを選んだら後悔しないか」。そうすればきっと、想像もしない面白い未来が開けるはずです。

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