2015年入社

今井 晃子 EC課 WEBデザイナー

中川政七商店の
ウェブデザイナーは、
料理もつくる

私の仕事は、コンテンツを通じて、お客様に商品をおすすめすること。基本はECサイトが私の「売り場」です。それはつまり、いくら思い入れのある商品だとしても、お客様に直接お声がけをすることができないということでもあります。

例えば、実際に手にとっていただけない中で、1枚のお皿の魅力をどうやって分かっていただくか。「似たような商品もあるけど、それとは何が違うの?」「湯飲みやお茶碗など、セットになる商品はある?」など、商品を見てお客様が思い浮かべるはずの疑問を、取りこぼすことなく想像する。

そして、それらの疑問に応えるために、つくり手さんはもちろん、制作にかかわった社内のデザイナーに話を聞きに行きます。場合によっては、お皿を使った食事風景を撮影するために、自ら料理をつくることもあります。ただ見栄えが良ければいいわけではなくて、実際の使い勝手も伝わるものでなければと思うから、例えば、ハンバーグなのかチャーハンなのか、どんなお料理と相性がいいお皿なのかを考えることも大切なんです。

時には料理をつくることもあるなんて、ウェブデザイナーという肩書きからは想像もつかないと驚かれるかもしれませんが、お客様に商品を魅力的に伝え届けるためであれば、手段は厭わないんです。

お客様に思いが届いた、
成功経験

お客様と直接お話はできないものの、自分が立てた企画やご紹介した商品がお客様に伝わったかどうかはわかります。それを初めて実感できた時のことです。

中川政七商店が扱う衣服はナチュラルな色合いとデザインで、私も大好き。でも、どう組み合わせたらいいか分かりにくい時もあるよなぁと、ひとりのユーザーとして感じていました。そこで、女性誌でよく特集される1週間コーディネートを、中川政七商店の衣服でもやってみたらいいんじゃないか…と思いついたんです。

お客様のイメージに近いスタッフにモデルになってもらい、1枚で透けてしまいそうな薄手の服にはインナーを着せて重ね着にしたり、マフラーとセーターの色味を合わせたり、上下セットアップでコーディネートしてみたりと、様々なご提案をしました。

その結果、この特集はなんと3週間で通常の約7 倍の売り上げを記録。「マフラーとセーターがセットで売れてる!」「上下セットでお洋服を買って下さってる!」。それはつまり、ウェブデザイナーの私たちの、「この組み合わせ、すごくいいですよね?」「ここにアウターを加えるとこんなに素敵なんですよ!」という思いが、お客様に届いたという証でもありました。

つくり手さんと商品の魅力が、
一番伝わる方法を考える

実は、今の仕事の前にもウェブデザイナーの仕事をしていたんです。ただし、仕入れ商品を販売することが基本だったので、どうしても、商品そのもののデザインや色についてしか語ることができませんでした。

一方で中川政七商店の商品は、企画・製造からかかわっているものが大半。どんなつくり手さんによって生み出された商品なのか、どんな工程を経て完成をするのか。信じられないほどたくさんのエピソードが、ひとつの商品には詰まっています。

最近も、つくり手さんに取材をしようと、奈良の工房へお邪魔したことがありました。奈良の伝統工芸である、一刀彫で仕上げた大胆なタッチが特徴の「干支の一刀彫り」は、毎年楽しみにしてくださる方が多い、お正月のお飾り。つくり手の高橋さんへの取材を企画したのは、高橋さんのエピソードを通じて、商品への愛着が増す方が増えてくれたらいいなと思ったからです。

木の固まりからどんな風に「干支の一刀彫り」が、彫り上げられ、独特の可愛らしさを持つ置物に仕上げられるのか。そのダイナミックで繊細な工程を、「つくり手としてはどこがお気に入りのポイントですか」「どんなところに苦労しましたか」など、様々な角度からお話をいただくことで、深堀りしていきました。

しかもこの取材の撮影は、動画にしたんです。様々な角度から捉えることができるように、カメラを3台準備して。なかなか大掛かりな撮影になりました。実際にお話される声のトーンやたたずまいを通じて、高橋さんの雰囲気が届くものになったんじゃないかなと思います。

「あなた」に「私」に。
顔の見えるニッチな提案を

ひとつの商品に対して着目すべきエピソードが多いという、嬉しい悩みの他にも、どんな特集を組めばお客様に喜んでいただけるのかも、ウェブデザイナーの私たちが頭を悩ませるポイント。尖った特集にしすぎて反応が薄くなることも怖いけれど、ありきたりなテーマにしても、埋もれてしまって誰も振り向いてはくれません。

ある時、自分のことを想像して特集を組んだことがありました。包丁を使うことが怖いと思うほどのお料理下手な私に向けた、「お料理下手でも使える台所道具」という特集です。自分もそうだったように、お料理下手だって、新生活や結婚などを機に料理道具を揃えようかなと思うタイミングがあるはず。

中川政七商店の社員には、お味噌や梅干しを自分でつくっているというような、お料理好きがたくさん。私のようなタイプはあまりおらず、珍しいアイデアだったのですが、結果としてたくさんのお客様に喜んでいただける特集になりました。「私が好きなもの」「私が欲しいもの」って、究極のニッチ。でも、それこそがお客様に届くのだという、貴重な経験をさせてもらいました。

とは言え、お客様に届く企画や表現を生み出すことは、なかなか難しい。先日上司に、「みんながいいねと言うものって案外、他のお店でもどこを見てもあるもの」と言われたんですが、その通りだと思いました。みんなではない、一部の誰かが共感してくれる、他にないユニークな切り口をお見せできてこそ、ページを読み進んで商品を楽しんでいただくところまでたどり着ける。たくさんの人に喜んでもらえることに、どうしても引っ張られそうになるけれ
ど、自分に宛てた特集を組んだ時の気持ちを、忘れないようにしたいと、改めて思いました。

ニッチなコンテンツをちりばめて、深くお客様に届ける。簡単ではないけれど、中川政七商店のウェブデザイナーとして、頑張りどころです。一方で、新たに挑戦してみたいことも見えてきました。それは、EC 発信でオリジナル商品をつくること。顔を合わせることも言葉を交わすこともない、全国のお客様にきちんと届くような商品がつくることができたら…すごく幸せだなぁって思うんです。

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