2013年入社

萩原 麻実 商品課 生産管理・ストックコントローラー

つくり手さんのことを
一番知っているという、自負

はじめての就職先は大手半導体メーカーでした。国内外の製造工程の納期や品質管理を担当する日々は、忙しくも充実していて、でもいつしか、「自分の担当した商品はどこに届いていくんだろう」と思うように。商品開発のスピードが速く、一つひとつの商品に気持ちを注ぎきれないまま、通り過ぎていく感じも寂しかったんです。でも、当時は社会人2 年目。転職する勇気もありませんでした。

そんな時、先輩の出産祝いを買いに立ち寄った中川政七商店の店舗で、会⾧の中川の本に出会ったんです。読んですぐ、「やりたいことはこれかもしれない」と思った感激が、今につながっています。

ストックコントローラーと聞くと、粛々とパソコンの前で数値管理をしているようなイメージかもしれませんが、そんなことはありません。つくり手の方々の生産活動に日々伴走する仕事です。だからこそ、どんなことに困っているのか、どんなことに挑戦したいと思っているのかなど、つくり手さんのことを私が一番知っているという自負も、ストックコントローラーはみんな持っています。

つくり手さんは年配の方も多く、「祖父母と孫」のような年齢差になることも。なので、「お変わりないですか」「調子はどうですか」という朝の挨拶から、仕事の電話がはじまることもあります。

また当然、システマチックには物事は動きません。良い品質のものを、約束通りに生産してもらうためにも、それぞれの生産背景を理解する必要があります。計画立てることが苦手な相手であれば、月単位ではなく週単位での目標を決めて、「来週は10 個お願いします」「今週はどうでしたか」と、最終的な必要数から遅れないようにサポートすることもあります。

お正月飾りのひとつ、木製の「鏡餅飾り」がいい例です。伊賀組紐でつくった橙に手織り麻の敷き布、あわじ結びの水引など、まさに日本の工芸の集合体。たくさんのつくり手さんがかかわっている商品でもあります。だからこそ、すべてのつくり手さんに予定通りに仕上げていただかないと、商品が完成せず、店頭に届けることができなくなってしまうんです。

一方で、大口注文やメディア露出によって一時的に需要が増えた時には、「在庫がなくなりそうだから追加でつくっていただけませんか」と、急なご相談をすることもあります。持ちつ持たれつ、なんです。人がかかわり調整が必要な分、手間や時間はかかります。でも、パソコン画面のボタンひとつで発注は済まない、人間のつながりがある。それはとても嬉しいことです。

心がけているのは、
対等であること

人間同士としてのお付き合いをするということは大前提ですが、私には、つくり手さんとかかわる時に必ず心がけていることがあります。それは、「対等であること」です。これは、中川政七商店で大切にされている、こころば(ひとりの人として持ち合わせたいこころ)のひとつ。

つくり手さんの中には、中川政七商店に「売ってもらっている」と思う方もいるかもしれませんが、はっきりと「それは違う」と言えます。私たちは、「日本の工芸を元気にする!」という目標に向かって一緒に走っている仲間なんです。私が何か教えてあげるとか、中川政七商店が売ってあげているとか、そういう立場ではないし、一方で、私が便利屋さんのように都合よく振り回されることも違うと思う。互いにリスペクトを持って仕事にあたりたいと思っています。

顔が見える商品、
顔が見える仕事

私の経験と比較するのはおこがましいけれど、前職では、つくったものが誰に届いているのかわからないことが当たり前で、寂しかった。それは工芸も同じじゃないかなと思うんです。工芸が、元気や誇りを失っていったきっかけのひとつが、届け先・使い手さんが見えなかったことなんじゃないかなって。

この人が喜んでくれているという具体的な顔がわかれば、しんどい時でもパワーが出ることってある。だからこそ、私はつくり手さんに、「贈り物にしたら喜んでもらえた」とか「去年悩んでいて買いそびれたから、今年はすぐに買いました」といった、お客様の生の言葉を直接届けます。

そういえばこの間、京金網のつくり手さんがお電話を下さったんです。「地方の催事に行ったら、お客さんが、中川さんところで商品買いましたって声掛けてくれたんや。中川さんに扱ってもらってから、そういう声をもらうことがほんまに多くなって、嬉しいわ」って。

これはきっと、「料理好きには有名な、京金網の焼き網です。ちょっとお値段は張りますけど、実は手作業で編まれていて…」とか「…⾧くずっとお使いいただけるものです」といった風に、たくさんの店舗スタッフが、何人ものお客様に丁寧にご説明したからだと思うんです。

店舗スタッフからお客様へ、そしてお客様からつくり手さんへと、大切な思いが確かに届いた瞬間。中川政七商店のみんなで、つくり手さんの素晴らしさをお客様に届けられていることを実感して、中川政七商店で働けていることを幸せに思った出来事でした。

入社して6年。相変わらず、この仕事が大好き。その一方で、ストックコントローラーだけでなく、中川政七商店の仕事は全て、工芸を元気にすることにつながっているのだと実感する日々です。だからこそ、商品がつくられるまでだけにこだわることなく、もっとたくさんの経験を積んで自分にできることを増やしたい。今はそんな風に思っています。

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